春といえば、初々しい新入社員が入社する時期です。しかし面接やインターン中には問題がなさそうに見えていた新入社員も、いざ実際業務や研修を始めると様々なトラブルが発生することも少なくありません。管理職の方や新人の教育を担当する人にとっては、やりがいがある反面、頭の痛い季節とも言えるのではないでしょうか。
今回のアンケートでは、管理職の方や新人を教育する担当者の方に、新人を受け入れる際にあった困ったことについてお伺いしました。業種や職種が変わったとしても、新人に対する悩みはそれほど変わらないものです。今回のアンケート結果を参考に、新人教育・採用方針を見直すきっかけとしてもぜひお役立てください。
第1位:人の話を聞かない
最後まで話を聞かずにわかったふりをすることがよく見られました。必ず人の話を終わりまで聞くように、何回も指導しました。
(千葉県/38歳男性)
とにかくアドバイスを受け入れず、トラブルばかり起こしていたので辟易していました。部署を上げて頭を下げる羽目になったこともしばしばです。
(福岡県/40歳男性)
大事な話をしているのに聞いていなくて大丈夫なのかなと思っていたら、案の定話を聞いてなくて困っていた。
(神奈川県/39歳女性)
約3割を占めたのは「人の話を聞かない」という意見でした。聞いているのかどうかわからない、わかったふりをしている、アドバイスを聞き入れないなどといった状況は、本人が困るだけでなく、企業全体のトラブルにもつながる可能性が高いです。「聴く力」の重要性について考えさせられる結果となりました。教育する側も、どこまで理解できているのか確認しながら進む必要があるでしょう。
第2位:タメ口を使う
タメ口とまでは行きませんが、目上の人間に対してその言葉を使うのか、といった発言はありました。自分でも過去にしたかもしれないですし、そういった失敗を経て学べば何も問題ないとは思います。
千葉県/23歳男性
新人は不安だろうからと優しく接していると図に乗ってくる。友達と同じように話しかけてくるので結局叱らなければいけなくなる。
(広島県/41歳男性)
大切なお客様に対してもタメ口を使う者がおり、困惑した事がありました。
(北海道/47歳男性)
第2位の「タメ口」は学生気分が抜けない新人にありがちな行為です。社内の上司だけでなく、お客様に対してのタメ口は社員教育を疑われる事態にもなりかねません。またタメ口ではないものの、間違った敬語を使っているといった意見もみられました。誰もが最初は新人であり、全てを完璧にこなすことはできませんが「丁寧に話す」ことを心がけて欲しいものですね。
第3位は「自分の話を聞いてほしい」という想いが
3位:ネガティブ発言が多い
「退社時間に帰れないんですよね」「残業が多くて大変なんですよね」など、もののとらえ方がネガティブで、聞いている周りまで暗い気持ちになってきます。
(東京都/27歳女性)
ネガティブな発言ばかりであれば、やる気を感じられないからです。
(広島県/40歳女性)
消極的な発言が多く、こっちまでげんなりしてしまいました。
(静岡県/33歳女性)
3位:頑なに意見を曲げない
専門学校を卒業した人が新卒で入ったのですが、学校で専門的に学んだ会計ソフトの使い方に固執するあまり、上司と衝突して業務が進まなかったことがあります。1ヶ月もしないうちに退社し、忙しいのにも関わらずまた求人募集をして新人教育をやり直す羽目になりました。
静岡県/43歳女性
自分が正しいと思い込み、何を言っても反論してくる新人がいて対応に困ったことがある。
(神奈川県/29歳女性)
会社での団体行動に適していない新人もこの頃多くなっています。仕事以外の場でも先輩への挨拶などは重要なコミュニケーションなのですが、全くできない新人も多く、自分の意見と異なった考えに対して拒否反応を起こす新人もいます。
長野県/58歳男性
3位:遅刻癖
遅刻は新人かどうか以前に、社会人として問題があると思います。
(石川県/31歳男性)
時間にルーズなことで、自分自身に対する信頼を失ってしまうことを若いころから教わっていたから。
東京都/42歳男性
夜の仕事と掛け持ちしており、遅刻してくるし、お酒臭いしやる気が全く感じられない。
沖縄県/35歳女性
同率3位に入ったのは「ネガティブ発言」「頑なに意見を曲げない」「遅刻魔」の3つです。遅刻をしないことは、社会人として最低限のルールですが、学生時代の癖が抜けない新人も多いのでしょう。また、ネガティブ発言や自分の意見を押し通すというのも、周囲とのトラブルを招きがちです。ただ、新人側からすると「自分の話を聞いて欲しい」という思いの裏返しである可能性もあります。
まとめ
ベテランを悩ます新人の行動、第1位は「話を聞かない」という結果となりました。新人は、組織に関する知識や経験がないわけですから、謙虚な姿勢で素直に話を聞いて欲しいと考える教育担当の思いと、「自分をPRしたい!」と考える新人との思いが噛み合っていない可能性があります。
話を聞かないといっても「理解できていない、聞き流している」という場合は、確認をとったり、どこまで理解できているのか新人に尋ねながら進むことで解決できますが、問題は「聞いているが、その方法を受け入れない」「理解しているが反発する」といった場合です。
これは第3位の「頑なに意見を曲げない」とも共通しています。学生時代や前職での経験や実績、知識があるがゆえに、入社した会社のやり方に文句を言う人も少なくありません。新人のタイプに合わせて、伝え方・教え方を変える必要があるようです。
2位のタメ口に関しても、本人には悪気がないことが多い分、教育する側の戸惑いが見られます。友達関係ではなく「上司・部下」「お客様」といった感覚を身につけさせることが、タメ口を改善させるための近道と言えるでしょう。
3位の「ネガティブ発言」は、周囲のモチベーションも下げてしまうため、注意が必要です。教育者側からすると「そんなに不満があるのに、どうしてうちの会社を選んだの?」と言いたくなるかもしれません。元々の性格もあるかもしれませんが、不安を感じるがゆえにネガティブな面にばかり目が行っている可能性もあり、新人の性格を見極めることも重要です。
同率3位の「遅刻癖」に関しては、新人云々ではなく社会人としてどうかと思うといった厳しい意見が相次ぎました。「遅刻をする=仕事へのやる気が感じられない」と判断する教育担当者も多いです。遅刻ひとつでその後のスケジュールにも狂いが生じますし、遅刻癖がある社員を大切なお客様のところへは連れていけません。タメ口は教育で改善できる可能性が高いですが、遅刻癖には相当な意識改革が必要と言えるでしょう。
新人は縁があり、入社してきた人たちです。できる限り本人の良さを引き出しながら教育し、立派な社員に育て上げたいものですね。