
前回、ワイフーズの社員総会の商談アポを取った有馬。
初めての「一人商談」に臨むため、万全の準備を整えたいところ。
「これまで先輩にたくさん教わってきたんだから、一人だって大丈夫!」
意気揚々と準備に取りかかったものの、すぐに壁が立ちはだかって…?!
【前回までの話はこちら】
【第0話】駆け出しプランナー有馬!絶対に盛り上がるイベントを作ってやる!
アポを取ったらやること
ワイフーズとの初回打ち合わせは2週間後。
今までは先輩プランナー沢田と一緒に取り組んできた準備作業も、今日からは一人でこなさなければならない。
企業情報ページから設立年月日、従業員数、店舗の数と立地などをチェックする。採用ページがあれば、そちらも確認して、どんな人材を求めているのか、企業理念や今後の方向性といった面を検討する。
そして、テレアポで話した内容やワイフーズのホームページから得た情報をもとに、先方が興味を持ちそうなテーマをピックアップしてみた。
- イベントを盛り上げるためにはどうしたら良いか?
- イベント参加者を増やすための施策
- 映像の使い方
- テーマの落とし込み方
これらをワイフーズに合わせて提案書に落とし込む必要がある。PCとにらめっこして試行錯誤するも、時間だけが刻々と流れていくのだった。
あれ?もうこんな時間…!?提案書、全然進んでないっ…!!
時計を見ると提案書を作り始めてから数時間が経過しており、終業時刻をとっくに過ぎていた。
入社してからの1年間、先輩プランナー沢田のそばでたくさん教わってきたはずの有馬だが、いざ自力でやってみるとスキル不足を痛感せずにはいられない。
1人だと、なんでこんなにうまくいかないんだろう…。
今までは沢田が準備作業の方針を立て、有馬が行き詰まれば手助けもしてくれていた。
沢田がどれだけの仕事をこなしていたのかを肌身で実感する。
沢田先輩…。
くじけそうになった有馬の頭にふと、クライアントであるワイフーズの担当者が電話で話してくれた悩みがよみがえった。

…店舗数を増やしたいのに、採用がうまくいってなくてね。スタッフの離職率も高いし。社員総会で結束を強められれば、少しは改善できるのかと思っていて。
…ハッ、そうだ!お客様のためにも頑張らないと。良い提案をして、イベントを成功させなきゃ!
最新事例の確認をしよう
気を取り直した有馬は、自社が手がけた案件事例のなかから、お客様に参考にしてもらえそうな社員総会の事例をピックアップすることにした。
某外食企業様 2015年 下半期総会

まずは、ワイフーズと同業の外食産業の社員総会。
優秀店舗の社員・スタッフによるプレゼンを行い、ほかの社員に行動を起こすきっかけを与えることを狙った企画が目玉だった。
このときは、徹夜でプレゼンの台本を作ったなー。当日のプレゼンでは、参加者がみんな涙を流して感動してくれたっけ。
某漫画喫茶チェーン様 第2回 社員大会

次に有馬が目を付けたのは、マンガ喫茶を展開する企業の社員総会。
このときは、長いプログラムの途中で来場者を飽きさせないように、映像制作を工夫したんだったよね。表彰式がドラマチックだったな~。
某パチンコチェーン様 社員総会 2014

最後はコレを紹介しようっと。
そういって有馬が選んだのは、パチンコチェーンを展開する企業の成果発表会&社員総会だった。
社員、アルバイトの本質的なモチベーションアップと今後の業績アップのために行われたものだ。
事例をチェックしながらアシスタント時代のイベント企画を振り返ってモチベーションが戻った有馬は、改めて提案書作りに取りかかるのだった。
準備万端!いざ打ち合わせへ!
それから2週間、有馬は数件のイベントのアシスタント業務と並行しながらワイフーズの準備に取り組んだ。
お客様のために!会社の利益に貢献するために!一人前のイベントプランナーになるために!
さまざまな思いを胸に秘め、提案書の作成に、商談のロープレ(ロールプレイング…実際の商談を想定して、社員にお客様役を演じてもらって練習すること)に…と、連日遅くまで会社に残って奮闘する有馬だった。
そして迎えたアポ前夜。
有馬は、商談に持参する資料の最終チェックをしていた。
提案書作成は特に入念に行った。ワイフーズが抱える人事面の課題から導き出した「社員総会を行う目的」と、それを具現化するプログラム、実際にイベントを行った後に得られる社員の姿といったものをストーリーに起こし、何度も仮説検証を行って、やっと納得のいく提案書ができあがったのだ。
沢田先輩から提案書にOKをもらえたし、明日は頑張るぞ~! ロープレもたくさんしたから、商談はこれで完璧なはず!
有馬は大きく伸びをして、早く帰ってゆっくり休み明日に備えようと考え、いつもより早く会社を後にしたのだった。
ところが、帰宅して食事と入浴を済ませ、いざ寝ようとベッドに入ったものの、緊張で目が冴えてまったく寝付けない…!
持ち帰ったノートPCを開き、提案書やヒアリングシートを広げ、打ち合わせのシミュレーションを始める。こうして有馬の長い夜は更けていくのだった。
不安と緊張を抱きつつも、心のどこかで「これだけ準備したんだから、明日はきっと大丈夫」と信じている有馬。
これが波乱の幕開けになるとは、このときはまだ知るよしもないのだった。
つづく。
※この物語は架空のものであり、実在の人物や企業とは一切関係がありません。
まずは、ヒアリングシートの準備。次に提案書作りのためのリサーチだよね。ワイフーズのWebサイトは…と。