企業の業績を高めていくうえでは企業価値を高める「ブランディング」が重要だといわれますが、ブランディングとは社外に向けて発信するものだとお考えの方が多いかもしれません。
実は、ブランディングには「アウターブランディング」と「インナーブランディング」があり、まずは「インナーブランディング」を強化することが「アウターブランディング」にもつながっていきます。
今回は、社員のモチベーションを上げ、離職率低下にも効果のある「インナーブランディング」についてご紹介します。
インナーブランディングとは
インナーブランディングは自社の社員に向けて、企業ブランドの価値を印象づける啓蒙活動のことです。これに対し、消費者や取引先に対して企業ブランドを印象付けることをアウターブランディングといいます。
インナーブランディングの考え方は、1990年代のアメリカの金融業やサービス業から徐々に広まってきました。従業員が一丸となって顧客満足度の向上を目指すホテルチェーン「リッツカールトン」の取り組みが有名です。
たとえばホテルのフロントスタッフの言動は、そのホテル全体の印象を大きく左右します。従業員全体がそのことを理解してブランド価値の向上を目指せば、より顧客満足度が高まるということです。ほかにも社員に企業ブランドの価値を啓蒙することで、次のような効果が期待できるとされています。
・社員の意識向上
・企業ブランドに合った行動の改革
・社員によるブランド価値の発信
・仕事に対するモチベーションアップ
・離職率の改善
・会社に対する帰属意識の向上
インナーブランディングの手法
インナーブランディングの手法にはさまざまなものがありますが、その中でも社員が一丸となって取り組むイベントの実施をおすすめします。具体的には、「内定式」「研修会」「社員総会」「運動会」などです。
これらのイベントには社員同士が協力体制を築き、帰属意識を高める効果が期待できます。ただし考え方の押しつけになったり、経営陣の独りよがりになったりすることのないよう注意が必要です。
成功事例とその効果
インナーブランディングの実施によって高い効果を得ている企業には、次のようなものがあります。
スターバックス
広告宣伝に費用をかけず、スタッフ教育に力を入れている企業です。「社員が満足していない会社ではお客様を満足させることはできない」という考え方のもと、接客の質を高める研修制度を充実させています。
ディズニーリゾート
「キャスト」と呼ばれるスタッフの接客の質を徹底して高めることで、「夢の国」のイメージと感動を与えています。
積極的な取り組みの積み重ねが大事
自社に対する不平不満ばかりを口にする社員が多い企業に、良いイメージは持てませんよね。社員に対して行うインナーブランディングは、消費者や取引先に対するアウターブランディング以上にブランド価値を大きく左右します。自社イメージの徹底は簡単ではありませんが、大きな成果をもたらす取り組み。一歩ずつ進めていきましょう。